オーガニックPGS ひろしまの農産物栽培原則は、IFOAM‐Organic International の基本理念と、日本有機農業研究会の「有機農産物」の定義を軸とする。具体的な運用基準は、「有機農産物の日本農林規格(以下「有機JAS法」)」をベースに、PGS の精神を取り入れて構成されている。
なお、オーガニックPGSひろしまは、「ゲノム編集」技術を、「新しい遺伝子組み換え(New-GMO)」であると考える。従って、「ゲノム編集」技術を用いた生産物は、有機JAS法にいう「組み換えDNA技術」に含まれるものと見なし、これを用いた生産物は、基準を満たさないものとする。
1. IFOAM‐Organic International の基本理念
有機農業は土壌の健康、生態系、人類を支える生産システムである。
それは生態系のプロセス、生物多様性、地域の条件に適合する循環によって成立しており、有害な影響を及ぼす投入物を使用しないことを前提としている。
有機農業とは、この仕事をしているすべての人々が共有する環境や公正な関係、素晴らしい人間らしい生活を享受することが出来るように伝統、革新、科学を組み合わせた活動を示している。
また、IFOAM では、有機農業は、以下の4つの有機原理に基づく。
① 健康の原理:健康を害する危惧のある肥料・農薬等の使用は排除されるべきである。
② 生態的原理:自然の循環と生態系バランスに沿ったものでなければならない。
③ 公正の原理:公正さを確保できる相互関係の構築と良質な生活を提供。
④ 配慮の原理:現世代と次世代の健康・幸福・環境を守るため、予防的かつ責任ある方法で管理する。
2.日本有機農業研究会の「有機農産物」の定義
生産から消費までの過程を通じて、化学肥料・農薬等の人工的な化学物質や生物薬剤、放射性物質、遺伝子組み換え種子及び生産物等をまったく使用せず、その地域の資源をできるだけ活用し、自然が本来有する生産力を尊重した方法で生産されたものをいう。
3.農産物栽培基準
以下の項目は、我々の栽培基準の要点を列挙したものである。
1,有機農産物生産の原則
① 化学的に合成された肥料や農薬を使うのを避ける。
② 土づくり(物理的、化学的、生物的な土壌改良)をし、地力を高め、肥沃な土壌にする。
③ 環境問題(地球温暖化、オゾン層の破壊、重金属による土壌汚染、塩類濃度障害、土壌浸食、砂漠化、地下水の枯渇や汚染、河川の富栄養化、水源涵養機能の低下、天敵の減少など)に配慮した栽培手法を追及する。
④ 自生している農産物を採取する場合は、採取する場所の生態系の維持に支障が生じない方法で行う。
2,ほ場等の基準
有機ほ場は、転換開始から、 最初の播種又は植付けまでに、 2 年以上経過していること。
(多年生作物の場合は、3 年以上経過)
(1)隣接地からの飛散等の防止
周辺から使用禁止資材(規格で認められていない肥料、土壌改良資材や農薬、その他の資材)が飛来し、又は流入しないように必要な措置が講じられていること。
隣接地から概ね3m 以上離して作付けするか、防風ネットや生垣を作るなどの植栽を設置する。
(2)水の管理
河川からの直接取水、井戸水、沼地や池からの直接取水をする場合は特に流入防止措置を講じる必要はないが、水田の場合、用水路と排水路が分離されておらず、非有機の水田の排水が有機ほ場に流入する場合は、対策が必要である。例えば、有機栽培の水田に用水が流入する前に取水口に混入を防ぐような施設を設けたり、「浄化水田」(最初に隣の水が入り込む水田 1 枚は有機としない方法)に一時的に貯留するなどして使用禁止資材が流入しないようにする必要がある。
3.種子・苗の基準
有機JAS法では、原則的には有機栽培由来の種苗の使用が必要である。
しかし、現実的には有機の種を販売しているところはほとんどないため、出来る限り、固定種や在来種等を自家採取したり、グループ内で種の交換をする。
入手が困難な場合は、慣行農法の種を購入できるが、その場合は、化学合成物質による処理がなされていないものを選定し、自らが購入後禁止資材で種子消毒を行ったり、育苗する際に使用禁止資材を使用することは認められない。
また、いかなる場合でも、遺伝子操作された種苗は使用できない。
4.肥培管理
① 当該ほ場等において生産された農産物の残さに由来する堆肥の施用
② 当該ほ場若しくはその周辺に生息若しくは生育する生物(ミミズ、昆虫、微生物など)による有機物の分解や生物の物質循環による土壌の質的改善
③ 作物の栄養成分の不足により正常な生育ができない場合に限り、有機JAS法で許可されている資材が使用可能
ただし、肥料は必要以上に多用しないこと。
④ 当該ほ場若しくはその周辺以外から生物(ミミズ、有用微生物、小動物など)を導入することができる堆肥を自ら製造している場合は、原料と作り方を明確にし、完熟堆肥になるように管理する。原料に有機JAS法で認められないものを使用することはできないので、入手先に状況を確認する必要がある。ボカシ肥を製造する場合も同様に、原料と作り方を明確にする。
購入堆肥の場合は、基準を満たすものを購入する。
原則的に、化学的に合成された肥料は使用できない。
5.病害虫管理
適地適作の作目や品種、健全種苗の使用、混植、土壌微生物の適正なバランスの保持活性化、野鳥やカエルやハチ類などの捕食性及び寄生性天敵の利用などで、耕種的、物理的、生物的防除方法又はその組み合わせによる方法のみによって実施されること。
原則的に、化学的に合成された農薬、殺虫剤等の使用はしない。
6.収穫後の管理
① 有機農産物以外の農産物が混合しないように管理されていること。
② 有害動植物の防除又は品質の保持改善は、物理的又は生物の機能を利用した方法によること。
③ 農薬、洗浄剤、消毒剤その他の薬剤に汚染されないように管理されていること。
④ すべての器具、車両とコンテナは洗浄され、有機生産物収穫のために使用される前に残渣が無いようにして、生産物を汚染してはならない。
⑤ 出荷時に梱包に使われる材料は環境への影響を考慮しなければならない。
⑥ 化学殺菌剤、防腐剤、燻蒸剤を含む梱包用の材料は使用できない。
7.洗浄、消毒、下水設備
① 有機生産の為に認証された洗浄と消毒用薬剤だけが使用できる。
② 食品の安全を保証するために食品衛生管理法
(http://www.chizai.tw/uploads/20120419_771403007_%E9%A3%9F%E5%93%81%E8%A1%9B%E7%94%9F%E7%AE%A1%E7%90%86%E6%B3%95201203.pdf?PHPSESSID=0aef8e150a2405125a085d83a610ac2f)
に従わなければならない。
8.社会的公正性
① 雇用は労働基準法及びその関連法・施行規則などに則っていなければならない。
② 子どもの権利も、ユニセフの「子どもの権利条約」に従わなければならない。
http://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_rig.html
9.文書と記録
個々の生産者またはオーガニックPGS ひろしまは、下記の閲覧可能で適切な記録集を備えていなければならない。
① 地図、生産と収穫の場所
② 農場のシステムに投入されたすべての購入物・補助金(含む寄付)の記録
③ 種苗、植え付け、収穫及び売上記録
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